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身近な後見は地域への貢献

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北海道岩見沢市

昨年の広報いわみざわ11 月号で、成年後見制度を取り上げたのを覚えていますか?
成年後見制度は、認知症や知的・精神障がいなどにより、判断能力が十分でない方の権利や財産が守られるよう、家庭裁判所から選任された成年後見人など※が、法律的に保護・支援する仕組みです。何だか難しそうと感じるかもしれませんね。
今月号は、その成年後見制度に携わる、身近な方にスポットを当てました。
※成年後見人など…成年後見人、保佐人、補助人などのこと。

●どれだけの実績が?
昨年10月14日に、成年後見制度の利用を支援する岩見沢市成年後見支援センター(岩見沢市社会福祉協議会が運営)が開設し、1年を迎えようとしています。成年後見支援センターでは、成年後見制度をはじめとする、権利擁護に関する相談支援を行っていますが、開設からどれだけの実績があるのでしょう?

●専門家でなくても
10カ月半で251件もの相談があり、権利や財産に関する困りごとを抱えている方が多く、成年後見制度に対して大きな期待が寄せられていることが分かります。
成年後見人は、家庭裁判所が、本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて選任します。本人の親族以外にも、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職、福祉に関わる公共性の高い法人が選任される場合もあります。専門家ばかりと感じるかもしれませんが、専門家でなくとも後見業務を行うことができます。

市民後見人:判断能力が不十分な方が、地域で安心して暮らせるように、その方の立場になって生活を支援していく、市民の皆さんによる後見人

●どうして市民後見人?
高齢化の進展や家族関係の希薄化などにより、社会的な支援を必要する方が増えています。本人に身近な存在である市民後見人は、地域実情に応じたきめ細やかな支援が可能で、地域のネットワークを生かした、市民目線での支援に期待が寄せられています。

●市民後見人に聞いてみた
では、岩見沢市の状況はどうなのでしょう。市内で、市民後見人として岩見沢市社会福祉協議会に登録されている方は17人で、現在活動している方は4人です。
その活動内容を2人の市民後見人に聞いてみました。

◆今年2 月から、岩見沢市で初めての市民後見人として、施設に入所中で認知症の方の後見活動を2 人で行っています
◇市民後見人になったきっかけは?
<宇土>
マスコミや広報で成年後見制度の記事を見て、「自分も将来お世話になるんじゃないか」と思って、詳しく知るために養成講座を受けたのがきっかけです。退職したら地元に貢献できればと思い、ボランティアを始めて、その流れで市民後見人に興味を持ちました
<内村>
民生委員をやっていて、地域の中で、判断能力が低下して、施設に入所された方がいたんですが、「何か手助けがあったら、もう少し自宅で過ごせたかもしれない」と思っていた時に、たまたま市民後見人の話を聞いたというのがきっかけですね

◇市民後見人になるには?
<宇土澤>
まず、市民後見人養成講座を受講するんですが、法律用語が出てくるので、なかなか大変でしたね
<内村>
ただ、受けているときは難しいなと思っていましたけど、今になって、改めてテキストを読み返すと、分かることがありますね。少しだけですけどね
<宇土澤>
市民後見人としての活動を始めるにあたって、最初にパートナーの顔合わせをして、関係機関に市民後見人の届け出をしました
<内村>
年金事務所、金融機関、市役所とかですね。届出先もまだ市民後見人に慣れていないというか、どうしていいのか分からないという感じでしたね

◇市民後見人になるまでの流れ
市民後見人養成講座を受講
◎基礎編
◎フォローアップ編

書類・面接による選考

市民後見人として登録される

家庭裁判所から、岩見沢市社会福祉協議会に対し、後見開始などの審判がなされる

岩見沢市社会福祉協議会で、登録された方の中から、市民後見人を選任する

市民後見人としての活動開始

◇どんな活動を?
<宇土澤>
業務は概ね月に1回ですね。まず、成年後見支援センターで、その日の打ち合わせをします。1カ月の間に何かあれば、その報告を受けます
<内村>
その後、2人で施設に行って担当職員と面談をして、私たちが支援している方の1カ月の様子を聞きます。その時に、ご本人と面談ができれば、直接会って話をします。認知症を患っている方なので、精神的に起伏があるんですね。たちと会うことが、必ずしも良いことばかりではないみたいです
<宇土澤>
会話も盛り上がるし、ご本人も話をしたがるんですが、興奮して夜眠れないとか、そういったこともあって、面談ができないこともありました
<内村>
その後に、施設利用料請求書をもらって、内容を確認してから金融機関に行って、必要なお金を引き出し、それを届けるという流れですね
<宇土澤>
そして、成年後見支援センターに戻ってきて、一日の活動を整理し、帳簿を付けたり、活動記録を作ったりします
■1日の主な流れ
・成年後見支援センターで打合せ

・ご本人が入所している担当職員と面談

・金融機関で支払いなどの処理

・成年後見支援センターに戻り、帳簿や活動記録を作成

◇活動に対する報酬は?
<内村>
活動費としては、1回につき1千500円ですね。私は車を運転するので、交通費として別に300円をいただいています
<宇土澤>
あくまで地域の支え合いの一環として行っている活動なので、必要最低限の経費といった感じですね

◇ご本人と初めて会った時の印象は?
<宇土澤>
「本当に認知症なの?」と思いましたね。普通の高齢者の方という感じでした
<内村>
私が民生委員として伺っているお宅、在宅の方と違いは感じませんでした。ご本人にとって、ちょっと大きな出来事があったんですけど、それがなければ、今も普通に家で暮らしていてもおかしくないくらいの印象でした

◇活動で感じることは?
<内村>
ご本人が経済的に安定してきたところは良かったなと思っています。きちんと管理できているというところですね。語弊があるかもしれないですが、判断能力が十分ではなくなった方を支えるということに、私自身がめげてしまうこともあります。〝できないこと〞が増えていく中で、ご本人の〝できること〞を最大限に生かし、意思を尊重しながら、今を生きていくという部分でのお手伝いですね。考えることが多いですけど、最後までお手伝いしていきたいですね
<宇土澤>
私たちが訪問すると、ご本人はちょっと安心したような顔をするんです。それがやりがいですね。こちらも救われる部分はありますね。自分が近い将来、後見人のお世話になるかもしれないという気持ちも半分くらいあるので、そういう目で相手の方を見る面もあるんですね。決して他人事ではないんです。自分の身に置き換えて、支援するということが大事かなと思います

◇受講を考えている方に一言
<内村>
勉強して分かったんですけど、自分の親の財産でさえ、子どもだからと言って勝手に管理できないということがびっくりしました。子どもとしての立場で勉強するという意味でも、とても意義深かったかなと思っています
<宇土澤>
今は市民後見人として活動していますが、いずれ親族の後見人になることもあるし、自分の子どもが自分の後見人になるかもしれないし、長寿社会においては大事なことだと思います。だから、市民の皆さんには、後見人のことをよく知ってもらいたいし、養成講座を受けて市民後見人になってほしいですね
<内村>
関心があるのは高齢の方が多いんですけど、若い人に関心を持ってほしいですね。認知症がごく身近に考えられる時代としては、誰もが知っておくべきことかなと思います
<宇土澤>
市民後見人になりたいという方は多くないかもしれませんが、特別な人が学ぶんじゃなくて、皆さんが知っていると良いと思います。養成講座なので、市民後見人の活動につなげるというのはありますが、つながる、つながらないは別としても、学ぶべきことじゃないかなと思います

市民後見人の活動は、社会貢献やボランティアという意味合いが強いかもしれませんが、お二人の話にあったとおり、高齢化が進み、独居や身寄りのいない方が増えていくことなどを考えると、地域での支え合いがますます大事になってきます。
成年後見制度の知識は、他人事ではなく、誰もが身に付けておくべきものです。この機会に、身近な後見活動にチャレンジしてみませんか?

◎76.1メガヘルツ FM HAMANASU JAPAN/岩見沢市社会福祉協議会の担当者が出演して説明します
10 月6 日(金) 午後5 時40 分

問合せ: 市高齢介護課

■市民後見人養成講座 (無料)
成年後見制度や社会貢献活動に関心があり、将来市民後見人として活動する意欲がある方を募集します。
日程: 10 月14 日から12 月9 日までの毎週土曜日 (10 月21 日(土)を除く。全8 回)
時間: 午前10 時~午後3 時(日程によって若干前後します)
場所: 広域総合福祉センター(11 西3)
定員: 50 人(申込順)
申込み・問合せ: 10 月11 日(水)までに、岩見沢市成年後見支援センター(会場内)へ TEL/ 35 局5210

       

岩見沢市発行の広報いわみざわです。市民の皆さんへ大切な情報をいち早くお届けします。 広報プラス ーわたしの岩見沢ー

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