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未来に続く公共交通 みんなの利用で支えよう 1

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北海道岩見沢市

取り巻く環境が大きく変化している公共交通。その中でも、バスに関しては、何度か広報いわみざわで取り上げてきました。一方で、JR北海道から単独維持困難線区として公表されたJR室蘭線があります。
今月号は、鉄路にスポットを当て、今までの歴史を振り返りながら、公共交通を未来に引き継ぐために、私たちにできることを考えます。

●交通の要衝
空知の石炭や農業を背景に早くから交通の要衝として発展してきた岩見沢。現在も二つのJR路線が接続し、岩見沢駅と、であえーる岩見沢を中心とした路線バスのネットワークが張り巡らされ、駅前のタクシープールからは、多くのタクシーが利用客を目的地まで送り届けています。
しかし、ひと昔前の岩見沢を知る人たちの中には、現在の公共交通ネットワークを淋しく感じている方もおられるのではないでしょうか。
10月に新しい路線での運行がスタートした路線バス。ひと昔前には1時間に何本も運行し多くの市民の皆さんを運んだ、市内Aコース・Bコースを知る方も多いと思います。

また、昭和62年に国鉄が分割民営化して発足したJR北海道。30年程前まで岩見沢駅には、現在の函館線と室蘭線だけでなく、万字線と幌内線が乗り入れ、市内では現在の倍の12駅が毎日、多くの人々を送り出し、迎え入れていました。

●公共交通を巡る環境の変化
JR 北海道は、昭和62 年4 月に、当時の日本国有鉄道の分割民営化により誕生しました。それまで、国の事業として運営されてきた鉄道は、国鉄の分割民営化に前後して強力に合理化が推し進められ、岩見沢でも、昭和60 年には万字線が、昭和62 年には幌内線が相次いで廃止されるなど、大きな影響がありました。
一方、乗合バスでも、平成14 年2 月の道路運送法改正により、新規参入に一定の規制を設け、需要と供給のバランスを保つことなどにより、サービスの維持に役割を果たしてきた需給調整規制が撤廃され、バス事業者の新規参入・撤退が容易になりました。
こうした動きは、大都市圏などでは、交通事業者間の競争を活発化させ、サービスの向上など一定の効果を生みましたが、地方では自家用車の普及などとも相まって不採算路線の撤退や合理化が進むなど、公共交通に大きな影響を与えています。

●JR室蘭線を学ぼう!(無料)
JR北海道が、単独維持困難線区として位置付けているJR室蘭線の状況を一緒に学びませんか。内容など詳しくは、お問い合わせください。皆さんのご来場をお待ちしています。
日時:12 月20 日(水) 午後3 時
場所:自治体ネットワークセンター4 階マルチメディアホール(有明町南1)
問合先:市企画室

●みんなで考えよう
公共交通に自由競争の原理が導入される一方で、国内の地方都市の多くが直面している人口減少と高齢化の進行。岩見沢市の人口は、2040年には次のグラフのように推計されており、65歳以上の方が4割を超えています。

公共交通に求められる〝地域の足〞としての役割は、ますます重要性を増しており、地域にとって、路線の存廃を以前のように事業者の採算性だけで語ることはできません。地域に暮らす私たちが自ら〝地域の足〞をどのようにして守り、確保していくかを考えなければなりません。

●バス路線の維持・確保のために
10月に新しい路線での運行がスタートした路線バス。私たちにとって、最も身近な公共交通機関と言えますが、市内路線の利用者数は、前回の路線見直し前の平成17年度から平成28年度までの間に、約178万人から約108万人に減少しています。
路線バスは、地域で暮らす人たちにとって、これからも必要不可欠な移動手段であることから、市は、平成28年度で約3千500万円に上るバス事業者への補助など、必要な路線の維持・確保に向けた取り組みを行っています。

●路線バスの冬ダイヤについて
積雪期を迎え、12 月1日から路線バスの一部区間において、冬ダイヤとして数分程度の時刻調整が行われています。
詳しくは、北海道中央バス(株)岩見沢ターミナル(有明町南1 【電話 22 局0761】)にお問い合わせいただくか、各停留所または北海道中央バス(株)ホームページでご確認ください。

●JR室蘭線 いまむかし
日本で3番目に開業した幌内鉄道の主要駅でもあった岩見沢駅は、かつては東北以北最大の操車場を有する駅としても知られていました。全盛時には1日平均で4千を超える貨物車両が忙しく出入りし、空知の石炭を小樽や室蘭、苫小牧の港に運ぶとともに、多くの人々が働き、まちは活気にあふれていました。
かつて国鉄は、全国で12カ所の〝鉄道の町〞を認定しており、道内では岩見沢市と追分町(現安平町の一部)の2カ所が認定されていました。〝鉄道の町〞として栄えた歴史を持つ二つのまちは、現在もJR室蘭線で直結し、ともにJR室蘭線の岐路に直面しています。
明治25年に開業し、最盛期には1日に60便以上の貨物列車の合間を縫って、20便以上の旅客列車が往来していたJR室蘭線。石炭輸送や利用客の減少により、現在は、旅客列車が上り下りともに7便で14便、貨物列車は苫小牧方面に向かう2便が岩見沢を通過しています。
早くから多くの人や物を運んだ鉄路や鉄橋、トンネルなどの鉄道設備は老朽化が進み、今後20年間で、設備の維持・更新に7億円、車両の更新には20億円かかると試算されています。現在の輸送量に対して過大となってしまった鉄道設備は、線区の収支を圧迫しています。

○岩見沢操車場(昭和47 年頃)
当時のJR 室蘭線では、1日60 便以上の貨物列車の合間を縫うように、旅客列車が運行していました

JR室蘭線 輸送密度※の推移

       

岩見沢市発行の広報いわみざわです。市民の皆さんへ大切な情報をいち早くお届けします。 広報プラス ーわたしの岩見沢ー

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