岩見沢市地域おこし推進員の吉崎祐季(ゆき)さんが、平成27年7月からの3年弱の任期を終え、3月末で退任されました。岩見沢市で初めての地域おこし推進員として、岩見沢市に新しい風を吹かせてくれた吉崎さんが、これまでの活動を報告してくれました。
●空き家の利活用
過疎化により全国的に空き家が増え、〝空き家問題〞という言葉を耳にするようになってきました。しかし、一口に空き家問題と言っても、地域によってその問題の本質は異なります。所有者が特定できない、所有者が分かっても、先祖代々続く空き家を貸すことができないようなケースも多く見られます。
そこで、地域の方々にご協力いただき、空き家の調査や、実際に空き家を皆さんに見てもらおうと、地元のNPO法人と連携し、〝空き家ツアー〞というイベントを開催しました。
東部丘陵地域の空き家の現状は、所有者が特定できなかったり、老朽化が激しかったりと、すぐに住める物件が少ないこと。また、豪雪により放置されている空き家は、倒壊の危険もあり、景観の悪化にもつながっています。
また、「この地域に移住したい」という方とも接する機会が多く、「空き家があるので、修理すれば住めますよ」と説明をしても、修理後のイメージを持てず、諦めてしまうケースが多く見られました。移住したいと思っている人がいて、家もあるのに、移住が進まない…
導き出した東部丘陵地域の〝空き家問題〞の本質は、〝空き家を活用する人がいないこと〞でした。
課題が見えてきたらチャンスです。修繕方法を多くの人と学ぶ仕組みづくりができないかと考え、「まずは自分たちでやってみよう!」と覚悟を決めて、美流渡の空き家を購入しました。職人さんを講師に、参加者みんなでプロの技や改修の方法を習いながら、作業を進めるワークショップ〝セルフビルドの学校〞を始めました。北海道の空き家の活用を突き詰めようと、断熱や気密の方法も探っています。
日々、壁にぶつかってばかりですが、地域内外の方が利用することのできるイベントスペースを目指しています。任期内では、完成に至りませんでしたが、地域おこし推進員の上井さんと共に今後も作業を進めていきます。
(セルフビルドの学校での住宅改修)
●みる・とーぶの活動
万字、毛陽、美流渡、朝日、宮村、宝水、上志文、奈良、清水
岩見沢市の〝東部丘陵地域〞と呼ばれるこのエリアをもっと知ってもらいたい、見てもらいたい。そんな思いを込めて、地域の方とプロジェクトを立ち上げました。その名も、〝みる・とーぶ〞。これは、東部33丘陵地域を見る33から付けた名前です。
活動のスタートとして、昨年の4月に、札幌市資料館のギャラリーで、東部丘陵地域に工房やアトリエを構える作家さんの作品や、地域の特産品約500点の展示販売を行いました。手作り体験のワークショップなども実施し、札幌近郊から600ほどの方に訪問していただきました。
また、このイベントに合わせて、東部丘陵地域、特に万字、毛陽、美流渡、朝日にスポットを当てて、そこで暮らす人々の似顔絵とコメントを掲載したエリアマップを作成しました。東部丘陵地域の山間部は、田園や果樹園など、農業が盛んであったり、工芸家やアーティストなど、魅力的な人が住んでいたりと特色豊かです。そんな地域の良さを感じることのできる地図となっています。これからも内容の更新を行い、より多くの人やスポットを紹介していく予定ですので、見かける機会がありましたら、ぜひ、お手に取ってみてください。
この他にも、市内外のイベントへの出展や、子どもから大人まで楽しむことのできるワークショップの開催、ソフトボール大会への参加などの活動を行ってきました。今後も持続的な活動を行えるよう〝みる・とーぶ〞プロジェクトの皆さんと共に、試行錯誤しながら進めていきたいと思っています。
(みる・とーぶ展)
(みる・とーぶマップ)
(みる・とーぶプロジェクトのワークショップの様子)
●地域の声
みる・とーぶプロジェクトは、吉崎さんがいたからこそ、札幌での展示や地図づくり、地域のイベント参加など、広がりのある活動になったと思います。退任後も、これらの活動をさらに充実させ、ワクワク・ドキドキした感覚を共有できたらうれしいです
●活動を振り返って
1人目の地域おこし推進員として、〝岩見沢市における地域おこし推進員とは何か〞を模索し続けた3年間でした。着任当初から、地域の皆さんには温かく受け入れていただき、地域の歴史や現状などを教わりました。ここで活動し、地域の方と関わる中で、着任前に「この地域で暮らしたい!」と思った直感は間違いではなかったと実感しています。人口減少に歯止めをかけられた訳でもなく、短い任期で何か功績を残せた訳でもありません。退任したから終わりではなく、今後も東部丘陵地域で暮らしていきます。そして、任期中に立ち上げたプロジェクトを通し、何か地域に還元できることがあればいいなと思っています。
(平成27年7月1日の委嘱状交付)
問合先:市企画室