岩見沢市老人クラブ連合会会長の山本博光さんに、老人クラブの魅力などを聞きました
※インタビューは距離を取って、マスクを外してもらい行っています
岩見沢市老人クラブ連合会会長
山本 博光さん
■思いやりの循環
老人クラブは大きな上下関係もなく、気楽に楽しむことができます。会員の平均年齢は79歳くらいですが、若い会員は働いていることが多いので、実際に活動しているのは70代後半から80代の方が多いです。今は、昔よりも会員の年齢層が広がっていますが、老人クラブで一緒に過ごしてみると年齢差はあまり感じません。
老人クラブはただの〝高齢者の集まり〞のように見えるかもしれませんが、地域から見守られる存在ではなく、仲間同士で助け合うことができる集まりです。
一人で対処するには難しい身の回りのことや体力が必要な除雪など、困っているときには協力して助け合っています。若いうちから老人クラブに入り、そういった手伝いをたくさんすると、自分が歳を取った頃に今度は仲間が助けてくれる。これまでの活動の中で培ってきた〝貯金〞が活(い)きてくるんです。
イベントなどで仲間と親睦を深めるのはもちろんですが、日々の生活での交流も老人クラブの活動です。若いうちからそういった絆(きずな)を深めていくことで、自分がお世話されるような歳になったときに、周りから助けてもらうことができるという安心感が得られ、「一人で暮らしているのではない」と思えるんです。
■心の健康のために
仲間がいなかったら、人と話すことも出掛けることも少なくなってしまいます。〝仲間に入る〞ということは、高齢者にとって健康法の一つだと思っています。一人で家に引きこもってばかりだと、自分の身なりに気を遣わなくなってきますよね。でも、外に出て人に会うときには身だしなみを整える。このようなことが、心の健康法なんです。
老人クラブに入って人と関わり、社会参加ができること、年齢を重ねてもそういった楽しみを自ら作ることができるというのが、老人クラブの一番の魅力ですね。
■ここでしか得られないもの
私は、老後も住み慣れた地域で楽しく安心して暮らせることが一番の幸せだと思っていますが、それは仲間の力があってこそです。
今は昔と違い、趣味のサークルや遊びなど、外に楽しみがたくさんありますよね。その活動だけでも十分楽しいので、「わざわざ老人クラブに入る必要がない」と考える人が多くなっていることが、老人クラブ加入率の低下の原因の一つであると考えています。
でも、見守りや助け合いなど、身近なところで生活そのものを共有し、〝根付く絆(きずな)〞は老人クラブでしか得られないものだと思っています。みんな温かく迎え入れてくれるので、ぜひ一緒に活動しましょう。
■老人クラブのこれから
老人クラブが抱えている大きな問題は、若手の会員が少ないことです。会員の高齢化が進み、最近では運転免許証の返納などで、自宅から離れた場所での行事に参加できる会員が少なくなってきています。老人クラブの活性化に必要不可欠な、若手会員の入会を促していきたいです。
活動の主役である各老人クラブが元気でいることが、地区協議会、市老連の活性化にもつながるので、若い方にはまず老人クラブの活動に参加してほしいです。
最近は、役員の高齢化と役員を担う期間の長期化で役員の負担も増えています。役員の担い手を育て、特定の人ばかりに頼らず、みんなで負担を分け合っていく必要があると思います。
また、イベントのマンネリ化を防ぐためにも、さまざまな世代の会員の希望を聞きながら、事業の追加、あるいは廃止も検討していきたいです。現在は、新型コロナウイルスの影響で通常の活動を行えない状況ですが、再開したときにはぜひ皆さんに楽しんでもらいたいですね。
今後は、災害などの非常時にも、老人クラブなどの地域で支え合う組織の存在がさらに重要になってくると思います。老人クラブの衰退は、地域の活力の衰退にもつながります。活力ある地域を次の世代に引き継いでいく役割も感じています。
◆会員の方にも話を聞きました
□稔町あけぼのクラブ 森田 清一さん
主な活動は、定例会として10日おきにみんなで集まって、おしゃべりをしたりゲームをしたりしています。また、敬老会やパークゴルフ大会、シニア交流大会にも参加していて、昨年のシニア交流大会では優勝しました。他にも、老人クラブで温泉旅行に行くことも楽しみの一つです。老人クラブの活動は自分の生活の一部になっていて、みんなで集まるのが日々の楽しみです。
学校や会社にはOB会というものがありますが、老人クラブは地域のOB会だと思っています。趣味の集まりだけでももちろん楽しいですが、ぜひ老人クラブなどの複数のコミュニティにも参加してほしいと思います。
□南が丘陽風(ようふう)クラブ 谷口 郁子さん
私が入っている老人クラブでは、健康のためのウォーキングやカラオケを主に行っていて、定期的に健康講座や誕生会なども行っています。また、シニア交流大会や高齢者福祉センターふれあいまつりにも参加しています。
活動をしていくと、新しいつながりができるのが老人クラブの良いところです。老人クラブは集まりやすく、お互いに会う頻度も高いので会員同士の絆(きずな)が深いと感じています。一人で家にいるよりも、人と一緒に楽しく過ごしたほうが自分自身に良い影響を与えてくれると思います。老人クラブは入ってみて初めて分かる楽しさがあるので、まずは入ってみてほしいですね。
■老人クラブに入会するには?
心も体も健康な生活を送るため、あなたも加入してみませんか。詳しくは、地域の老人クラブにお問い合わせください。
地域の老人クラブの連絡先が分からない場合は、老人クラブ連合会(東山2高齢者福祉センターふれあい内【電話】23-7588)にお問い合わせください。
老人クラブに積極的に参加することで、地元の仲間やいろいろな世代の人との交流が深まります。また、地域に貢献することで、自分自身の心や体の健康にもつながります。
「まだ若いから」「もう歳だから」とためらっている方も、まずは、近所で活動している老人クラブに参加してみませんか。思いがけない出会いや発見で、毎日をより楽しく過ごすきっかけになるかもしれませんよ。
問合先:高齢介護課