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将来に求められる急性期病院のあり方を検討

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北海道岩見沢市

市立総合病院と北海道中央労災病院は、北海道から再編統合に向けた議論を進めるべきと論点提起をされたことを受け、事務レベルでの検討委員会を設置し、両病院の再編統合を含めた今後のあり方について議論を重ねてきました。今月号は、その結果を取りまとめた報告書の概要をお知らせします。

■両病院を取り巻く環境
□人口減少社会の進展
両病院を含む南空知医療圏では、長期的に人口減少が続くと予測されていますが、圏域の人口に占める岩見沢市の人口の割合は高くなっていく見通しです。
人口減少に伴い、入院・外来患者数も減少し、令和27年には令和2年の6割から7割まで減少する見込みとなっています。
また、65歳以上の患者割合は年々増え、令和27年には入院で9割弱、外来で約7割に達することが見込まれています。

□医療政策の動向
国は、地域における医療・介護の総合的な確保を推進することとしており、北海道が策定した地域医療構想では、南空知医療圏の回復期病床数が将来的に不足する見込みです。
また、医師の確保や働き方改革、新型コロナウイルスなどの感染症拡大時の医療提供体制の構築が求められています。
南空知医療圏の将来人口推計:

両病院の概要:

■両病院の現況と課題
□受療動向と役割
両病院は、市内在住の入院患者の5割以上、外来患者の2割以上に対応しているほか、岩見沢地区消防事務組合による救急搬送の7割を受け入れています。
また、がんや心疾患などに対応できる医療機能を備えているほか、救急、小児・周産期やじん肺などにも対応し、地域医療の中心的役割を担っています。

□経営の見通し
両病院とも、近年は経常収支の赤字が続いています。将来的に入院・外来患者数が減少していく見通しの中、現状の診療機能を継続しながら、健全な経営を維持することが困難になる可能性があります。

□両病院の課題
医師をはじめとする医療スタッフの確保や施設の老朽化による更新の必要性が課題となっています。
また、今後の人口減少による厳しい経営が見込まれるため、医療機能と経営基盤の強化、地域の医療・福祉機関との機能分化や連携を促進する必要があります。

■求められる急性期病院
両病院が担っている役割や課題を踏まえ、地域に求められる急性期病院の機能や病院像を検討しました。

◆岩見沢地区に求められる急性期病院像
◇急性期医療
・がん診療連携拠点病院の指定
・緩和ケア病棟の設置

◇救急医療
・救急告示医療機関としての機能を維持
・ICUまたはHCUの設置

◇回復期医療
・早期リハビリテーション体制の維持
・回復期病棟の設置

◇災害・感染症医療
・災害拠点病院の機能維持
・新興感染症などにも対応可能な体制の強化

◇専門医療
・小児、周産期、糖尿病、精神など
・各専門医療や専門外来機能の維持

◇地域医療連携
・地域医療支援病院の指定
・市内医療機関との連携の強化

□急性期病院のあり方の検討
次の四つのパターン別に検証しました。
・両病院がそのまま存続する
・機能分担して2病院が存続する
・経営統合して機能分担する
・一つの病院に統合する
四つのパターンの検証結果:

その結果、医療スタッフの確保と働き方改革、医療の提供、施設・設備投資、経営の効率性のいずれの観点からみても、一つの病院へ統合することが最も優位であり、〝両病院を統合することが望ましい〟という結論になりました。

□統合時期の検討
仮に両病院を統合して新病院とする場合の統合時期も検討し、次の三つの観点から、統合時期は〝市立総合病院の建設スケジュールに合わせることが望ましい〟という結論になりました。
・再編統合に関係する国や北海道の手厚い支援は、期間が限られることが予想される
・両病院とも施設の老朽化が進んでいるため、できる限り早期の建て替えが望ましい
・現状の診療機能を維持しながら、健全な経営を維持していくためには、適正な規模の病院にできる限り早期に統合すべき
これらの検討結果から、検討委員会では、岩見沢市立総合病院の建設スケジュールに合わせて両病院を統合することが望ましいと報告しました。

■今後の検討に向けて
統合に向けてさらなる検討を進める場合の留意事項は次のとおりです。
・南空知医療圏域に求められる診療機能の整備を考慮し、両病院の患者が診療を継続できること
・地域包括ケア病棟が設置できるよう国への要請を検討すること
・新病院の規模は、人口減少下における将来の患者数見通しや新興感染症などへの対応を考慮し、必要かつ適当な規模とすること
・新病院でも可能な限り両病院の職員の雇用を継続できるよう配慮すること
・持続可能な経営基盤のもとで医療が提供できるよう、経営の見通しを十分検討すること

現在、両病院の再編統合について、両設置者間で協議を行っています。方向性が決まり次第、改めてお知らせします。

今後のあり方検討委員会報告書は、市役所本庁、北村・栗沢両支所、有明交流プラザの情報公開コーナー、幌向・朝日・美流渡の各サービスセンターで閲覧できるほか、市立総合病院ホームページからダウンロードできます。

問合先:市立総合病院新病院建設準備室(9西7)
【電話】22-1650

       

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